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「雑誌社の方が、 どういったご用件で、 うちの生徒に?」 白井さんは、 余裕の笑顔を先生に向けた。 「先日の放火事件の事で、 聞き込みしていたんですよ」 「そうですか。随分熱心ですね、 たかが小さな火事ひとつに。 もっとほかに、 ネタになりそうな事件は いくらでもありそうですけどね」 「……」 先生は、油断のない目で 白井さんをじっと見つめた。 白井さんも同じように、 春山先生の表情を 探っているように見える。   気まずい間に耐えきれず、 わたしは冷めきった ミルクティーを口に運び、 そのあまりの冷たさに 顔をしかめた。
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