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「…質の悪い、ね…」 白井さんはふ、と笑って、 「どっちが質が悪いのかは、 いずれはっきりさせてみせますよ。 このままあいつの 思い通りにはさせません。 ――先生も、 気を付けた方がいいですよ。 彼女に呑みこまれないようにね」 先生は全く表情を変えずに、 白井さんの挑発的な目線を 受け止めていた。 「わたしの方からも ご忠告させて頂きますが。 今後、うちの生徒に つきまとい行為をするのは、 お止め下さい。 警察の巡回を増やすよう、 所轄に要請するつもりでいますので」 白井さんは少しだけ 表情を固くして 春山先生の顔を見つめた後、 ふっと力を抜いた。 「……わかりましたよ。 もう、校門の前で張るのは 潮時だと思っていたから、 ちょうどいい。 待ち伏せはもう止めましょう。 約束します」 白井さんはそう言って、 わたしの顔をちらりと見やった。
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