殺人者しか殺さない殺人鬼の少年の話。

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『殺してほしい奴がいる』 「あんたが俺に頼むのって珍しいなぁ、でも、俺は人殺し以外は殺さない。それはあんたがよく知ってるはずだぜ?それとも、その殺してほしい奴ってーのは、人殺しなんか?」 『あぁ、だからお前にお願いしてんだよ。他の奴等に頼んだら、関係のない一般市民まで巻き込むからな』 「いいぜ、あんたには返しきれない恩だらけだしな」 口調は冗談を維持し、本音を吐き出す。 男の短い礼。殺害するターゲットの特徴。指定された時間等を聞き取り、脳に刻み付ける。 俺は、きっと死ぬまでこの世界にいるのだろう。 血生臭く、薄暗く、光さえも消してしまった世界に身を置き続けて、最後の最期には醜く爛れて腐り落ちるのだろう。 それは、電話越しの男も同じで。 だったら、俺達は何の為に人を殺して、そこまでして生きているのだろう。 純粋に湧き出た疑問はすんなりと言葉になる。 俺が自分の問い掛けに気付いたのは、男の訝しげな声が鼓膜を揺らした時だった。 無意識のうちに呟いていたのだと、理解するには男の呆れたような溜め息だけで充分だった。理解して直ぐ様、撤回しようと口を開くが時すでに遅し。逆に男が問い掛けてきたからだ。
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