夢遊病で自殺志願者な殺人者の少女の話。

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「その理由は?」 「二番目の質問。というより、あんたはニュースとか観てないのか?新聞とかは取ってないのか?俺の噂は結構有名だと自負してんだけどなぁ、実際、俺の通う中学では事件の後は必ず持ちきりになるんだけど」 「見てるかもしれないけど、忘れた。へぇー、さっきの質問は君のことを知ってるかの確認だったの。さっきも言ったように知らない。それで?正当防衛も自殺志願も人殺しという域に入るの?」 「あぁ、入るね。入るに決まってる。それにな、おねーさん、あんたのそれは正当防衛じゃなくて過剰防衛だ。正当防衛っていうのは相手の動きを制するだけのもん。時折、ニュースとかで正当防衛で人を殺しちまった奴等のことを被害者のように扱うが、あれは間違ってると俺は思うよ。動きを制するだけなら、相手の暴力性を奪うだけなら、何も殺さなくてもいい。足を刺せば逃げる隙は十分できる。突発的、咄嗟に、衝動的に、勢い余って、余裕がなくて、なんて言い訳に過ぎねぇ。理由はなんであれ、きっかけはなんであれ、経緯はなんであれ、人を殺したことに変わりはねぇんだ」 「ふーん、だから、君は人殺しを殺すんだ?でも、君は誰かに理由もなしに、或いは理不尽な理由で、この際、正当な理由でも全然構わないけど、とにかく殺されかけたとき、抵抗しないの?黙って殺されるのかな?正当防衛っていうのは、自分の身を守るために与えられた権利みたいなものでしょ?確かに人間の暴力性を奪うなら、適当な箇所を刺すだけでもいいかもしれない。でも、それをいうなら、あれだよ。さっきの君の言葉を借りるなら、突発的、咄嗟に、衝動的に、勢い余って、余裕がなくて、ただ単純に攻撃した部位が死に至る場所だった。それだけの話なんじゃないかな?」 「くかかか、それもそうかもな。いやいや、俺もさっきはあんな風に言ったが、大した信念はないよ。中学生っていうのは多感な年頃だからな、大人の言うことには何かとひねくれた解釈をしたくなるんだよ。でも、残念ながらあんたは俺に見付かった。俺は人殺しを殺すのが趣味なんだよ。それが正当防衛だろうが自殺志願者だろうが関係ない。俺の一時の快楽と暇潰しの為に死んでもらう。死にたかったんだろ?」
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