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それから数日が過ぎた。
点数を張り出されない学校だからか、特段変わったことは無かった。無断欠席なんて皆した事が無いから、多分僕は再テストができたのだろうと思い込んでいるらしい。
宇津木さんに至っては、テストの結果よりも別の事で親衛隊全体がバタバタしてるらしく、珍しく朝から難しい顔で机に突っ伏していた。
「ねぇ、宙斗君……宙斗君は喧嘩強いの?」
可愛らしい大きな目が僕を見ている。無性に見栄を張って強いと言いたくなったけど、見えすいた嘘はやめておこう。
「なんですか急に? いや、僕は体力の無さには自信があります!」
「だよねぇ…」
「何かあったんですか?」
「いやぁ、親衛隊の中でなんだけど、ここ数日で転入生にボコボコにされたって噂が広まっててさ〜…でも宙斗君でしょー?」
「僕が? してませんよ!」
ぅーん、と小さく唸って宇津木さんは机に頭を擦り付けた。
「分かってるよぉ……そりゃ僕だってこんな頭でっかちしか取り柄が無い宙斗君が人を殴れるとは思って無いんだけどさぁ……不思議なのが、宙斗君と接点無い風紀委員長が『絶対にない』って言って全然取り扱わないの。一度見ただけで、体力無いって分かるものかな」
あの焔さんが?
僕に対してめちゃくちゃ敵意丸出しだったのに…どういう風の吹き回しなんだろ。
「親衛隊の方は証拠もないし、お手上げみたいで、逆に宙斗君を脅してたのを根掘り葉掘り焔さんに聞かれちゃって……会長の親衛隊が一部活動停止中なんだ」
「………」
自業自得って言いたかったけど、どこか腑に落ちなくて素直に言葉が出なかった。
「って言っても、親衛隊にも面子があるから黙ってられないって……聞き込みとか、処分しろっていう署名とか…ゴタゴタなのよ。関係ない竹沢親衛隊までとばっちり来ててホントめんど〜。宙斗君脅せなかったから、逆に暴力されましたって方向転換なのかな?」
「親衛隊の皆さんって凄いですね…」
「僕の所は違うからね!! そいや宙斗君、寮とか移らないの? 生徒会だし? 個人部屋とか羨まし〜」
「ん〜そういう話は無いですね…誰から言われるものなんですか?」
「さぁ? 理事長とか?」
「なら無いですね」
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