ままにならぬが浮世の常

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二つ離れたテーブルで、悪ふざけをした男子学生の一際大きな声がした。耳に響いて眉根を寄せる。 「お前相手ならこれで十分だろ」 「どういう意味よ」 「あ、ナゲット食う?」 「……ソースはもちろんバーベキューでしょうね」 別に昼飯だし上等な店へ連れて行って欲しいわけでもないし構わないが。 安上がりに思われたなら、それはそれで腹立たしい。 「お前も会社の人間出入りしない場所の方が落ち着いて食えるだろ」 まぁ確かに、その方が無駄な演技をしなくてすむ。 憮然としながらも、納得して私はハンバーガーを手に取った。
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