ままにならぬが浮世の常

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私は別に肉食でもなんでもない。 寧ろ、今まで接触はできる限り避けて生きてきた方だ。 そんな私が好きになった矢野さんは、穏やかそうで優しくて落ち着いた大人の男性だった。 それが味気ないという意味で間宮は貶しているのだろうけど、毒の塊みたいな間宮よりはずっと魅力的だ、と思う。 目の前の窓ガラスに映った自分と目が合い、溜息をつく。 「なんで矢野さんは私じゃないんだろ」 「ぶっ」 私の呟きに失礼にも吹き出した男は無視して、窓ガラスをじっと睨んだ。 昔っから同性には妬みの対象となり異性からは下心しか感じなくなった、お綺麗な顔がそこには映ってる。 加えて肌のお手入れも完璧だし、黒髪は今は肩より少し下くらいの長さだけど。 好みのロングまで伸ばすから、それは少し待って欲しい。 「猫だってがっちりかぶってんのに」 「お前馬鹿だろ」
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