ままにならぬが浮世の常

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躊躇う理由など、ない。 ずっと遠くから見ているだけだった矢野さんと接点が持てるのだ。 チャンスだって思った。 時々誘われて、食事に行く時は大抵4人。 会う度にますます好きになった。 思ったとおり穏やかな人で、落ち着いてて。 ほっとする。 携帯番号も皆で交換して、浮かれてたけど。 矢野さんは、私のことなんかまるで子供扱いで。 気がつけば彼と仲良くなっていたのは、相田先輩だった。 「聞いて、春妃ちゃん。私、矢野さんと付き合うことになったの」 恥ずかしそうに、頬を染めての報告を受けたのが、ひと月前。 呼び出されて彼から告白されたのも、当然私ではなかった。
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