prologue

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―――――― ――― 「もう、いい加減にどいてよ。仕事に戻らなきゃ」 自社ビルの非常階段、1階。 ここは滅多なことでは人は通らない。 私は男の腕に両側を挟まれて 壁際に追い詰められている。 「してほしいくせに。いいだろ、ちょっと充電さして」 ふざけないでよ、したがってるのはそっち! そう言い返せないのは少なからず 男の言葉が図星であるから、かもしれない。 冷ややかな視線と共に降りてくる薄情そうな唇は 重ねた途端やわらかな温もりに変わる。 咄嗟に男の胸に手を当て押し返そうとしたけれど それは否定するフリでしかないことを自覚もしている。
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