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「もう、いい加減にどいてよ。仕事に戻らなきゃ」
自社ビルの非常階段、1階。
ここは滅多なことでは人は通らない。
私は男の腕に両側を挟まれて
壁際に追い詰められている。
「してほしいくせに。いいだろ、ちょっと充電さして」
ふざけないでよ、したがってるのはそっち!
そう言い返せないのは少なからず
男の言葉が図星であるから、かもしれない。
冷ややかな視線と共に降りてくる薄情そうな唇は
重ねた途端やわらかな温もりに変わる。
咄嗟に男の胸に手を当て押し返そうとしたけれど
それは否定するフリでしかないことを自覚もしている。
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