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『優しい雷牙の事だから、もしかしたら結婚してくれるんじゃないかって思って…』
「……そうなの」
『この前、雷牙を本気で怒らせてしまって解雇されたでしょ?だけど次の日、お母さんの溜まっていた入院費を全額払ってくれてたの…』
「…………」
『退職金も…想像していたよりも多かった』
「…………」
『きっと雷牙は、優ちゃんを傷付けた私を許せないと思う。だけど家族や私の人生までは奪わなかった……優ちゃん……今更だけど…御免なさい…御免…なさっ……』
「……恵梨香…私の方こそ…気付かなくて御免なさい……苦しい思いに気付かずごめんね…」
『…私のした事は許されない……だけどまた…会えた時は……声を掛けて欲しい…』
「勿論、その時はきっとまた笑って話せる筈。それまで、元気でいてね」
『有難う、優ちゃん』
通話を終えると胸がぎゅっと締め付けられる思いに駆られた。
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