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それはまるで、一粒のチョコレートのように甘く、ほろ苦い。
どこかで聞いたことのある文言でこの物語は始まる。
一組の男女が織りなす、大量生産されたチョコレートストーリー。
男の名まえは“伊織”
女の名まえは“香織”
ふたりは幼馴染で24年間相手のことを想っている。
親同士が仲が良く幼少期からお互いの家を行き来するが、家の距離自体は近くもなく、遠くない、微妙な距離。
その距離感がそのままふたりの間に流れる。
伊織は工場勤務。
カカオ豆から工業用チョコレートを。
香織はショコラティエール。
様々なチョコレート菓子を作り出す。
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