奇跡の数

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最初の乾杯を済ませて、みんなわいわいと楽しそうに話しをしながらふぐを堪能している。 放射線科の看護婦さんは、年配の方が多くて20代は私と玉岡さんくらいで。 だから話の内容も家庭の愚痴が殆どだ。 谷先生は最初のお酌は受けてくれたけど「後は自分でするからいいよ」と、手酌でのんびりと呑んでいた。 時々看護婦さんに話しかけられて、うんうんと適当な相槌を打ちながら、しっとりと。 私はお言葉に甘えて、ひたすらふぐを堪能する。 ――― すごい!ふぐってこんな美味しいんだ…! お刺身も唐揚げも、てっちりも。 次々にお箸を進めて、止まらない。 人の話も無意識に聞き流してしまうくらい、夢中で食べて、隣から聞こえた含み笑いに、はっと我に返った。 「好きなだけ食べなよ」 「はい、すみません」 流石に少し恥ずかしくなってペースを落とす。 お酒はあまり飲まないつもりでいたけど、少しだけヒレ酒をいただいた。 お酒も料理も随分進んで、お腹も落ち着いたのか看護婦さん達も各々の話に集中しだした頃。 「君、最初はイマイチだった」 不意にそんな話をし始めた。 意味がわからなくて、私は首を傾げる。
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