奇跡の数

19/31
299人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
「1回だけ、高校の友人と久々に会ったことがあるんです、珍しく許してくれて!」 ダン!と勢いよくグラスを置くと、うんうんと頷きながら先生がビールを注いでくれる。 「夕方6時に待ち合わせて、すぐですよ。バンバン携帯に着信入って、食事どころじゃなくなって。結局9時過ぎに帰ったんですけど。家の最寄駅でアイツ待ち構えてて、駅前でバシバシ殴られたんです、3時間、たった3時間ですよ?!」 「あぁー、独占欲、醜いねぇ」 「独占欲、ってだけですかね?」 「じゃないね、少し病的」 かなり、私も先生も酔っていたと思う。 他のメンツもちょっと引き気味だった気はするが、酔ってる時はそんなものなんのストッパーにもならないもので。 「やっぱり今日はお祝いだな!離婚万歳だ!嫌なことは全部吐き出して、さっさと次に行く!」 「はい、乾杯!」 がちゃ、ともう何度目かの乾杯を2人で鳴らす。 いつまでも続きそうな私達の雰囲気に、先に帰っていく人も出始めて、今は玉岡さん含めた3人が、机の反対端で楽しそうに飲んでいた。 「何より一番しんどかったのは、笑えと言われたことです」 自分の吐息が、異様に酒臭く、それにすら酔えそうだった。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!