ありがとう

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公園に強い風が吹いた 風は枯れ木の木の葉を落としていった 「僕が産まれてきたことに意味があるなら 今、ここに居る僕はなんなのさ? 傷だらけの僕は いじめられている僕は 助けられていない僕は 自殺しようとしている僕は 一体何の為に産まれてきたのさ?」 少年は声を振り絞って叫んだ 「その意味を君はまだ見つけていないだけだと思うな? それに周りの人が君を助けてくれないのは 君が助けを『求めていない』だけだと思う」 冷たい朝は日照りでだんだん暖かくなっていった 「助けを求めていない? 僕が? でも、こんなに傷だらけだから助けてくれる人は居るはずだよ」 「君がその傷を隠しているからじゃないのかな? だから、この公園でいつも泣いているんじゃないの? そうやって殻に閉じ籠っているだけじゃ何も始まらないよ? 勇気を出さないと みんな助けようにも、助けられないよ」 少年はまた泣いていた 少年の涙はさっきの涙より暖かかった 「だって……この公園から出たら また、みんないじめるんだよ 怖いんだよ……いじめられるのが怖い だから僕は弱虫なんだ 弱い僕に勇気なんてないよ」 少年は髪をぐしゃぐしゃにかきむしった
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