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冷たい雨が降った 半分凍った雨が降った 霙 少年の胸は苦しくなった 少年は胸を押さえた 地面に額をくっ付けて苦しがっていた 「最初はみんなと仲が良かったんだ ずっとみんなと遊んでいた それなのに、あいつが現れてから みんなが僕を変な目で見るようになった みんなの目が怖かった 学校に居ると、それだけを気にしていた ある日、僕は何もしていないのに あいつは僕のせいにした あいつは優等生だったから、みんなあいつを信じたんだ その時、僕の胸が急に苦しくなった 首を締め付けられたような感覚だった みんなが僕を見ていた 誰も僕を信じてくれなかった あいつが言ったんだ『あいつが僕をいじめたんだ』って 僕は何もしていないのに、あいつは僕をいじめっ子に仕立てあげた 本当はあいつがいじめっ子なのに それ以来、僕はみんなを信じられなくなった みんなも僕を信じなくなった だから僕は学校に行かなくなった 苦しくなるだけだから それから、ずっと考えていたんだ なんで僕は生きているんだろうって どうしたらみんなから信じてもらえるかなって なんで僕はいじめられているのかなって」 雨は次第に強くなり 冷たい大雨が降った
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