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「それで…かな?なんか今、家ってちょっと揉めてるんだ。それでなんかアタシもちょっと弟に遠慮するようになっちゃって…それが逆に弟を、みたいな。」
さみしそうな笑い顔で、ウタは言った。
「元々の原因は今の魔法社会だ。魔力至上主義っていうな。」
レオがつまらなそうに言う。
魔力至上主義
魔力スロットの数、そして魔力の大きさこそが、人の優劣を決めるものだ、と主義主張することである。
平たく言えば、スロットを多く持ってて、魔力が大きいほど偉い、という考えである。
「くだらない、たとえ魔力が大きくたって、使い手がダメなら結局無能じゃないか。」
心底嫌気が刺すような顔をするレオ。
そうか、色々大変だ、この世界の情勢も。
それに魔力至上主義の問題は今の俺にも関係する話だ。
でもそれ以前に、俺はウタの弟のことが気になる。
そのウタと弟の関係が…
「似てるな…。」
「えっ?」
「うん、俺もさ…はっきり言うと仲は良くないんだ。弟と。」
「「「えええええ!?」」」
今度は3人に驚かれた。
そんな不思議がることかなあ、本当。
「なんか、誰にでも好かれそうな風なんだよね。葉風君、頼れるっていうか…。」
ティアが不思議がる俺に言うと、二人も同意している。
その態度に苦笑する。
「まあ、そう言ってくれるのは嬉しいけど…多分、家族にとってはやっぱりそんなにいい存在とは、言えなかったかな。俺は」
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