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「ウタ」
「うん。」
「上の兄姉っていうのはな…そんな簡単に遠慮しちゃダメなんだ。」
「遠慮…」
「毅然として、下の弟妹の純然たる敵、超えるべき壁として存在しなきゃいけないんだよ。」
「壁?」
「そうだ、決して負けてはいけないってわけではないんだ。ただ、常に下の弟妹に『まだ、敵わない』って思わせ続けなきゃいけない。経験でも、愛情でも、特技でも、なんでもいい、とにかくどれか一つでも、勝ち続けなきゃいけないんだ。」
「…」
「兄姉ってのは最初、なんでも下の弟妹に譲らなきゃいけない。」
「うん。」
「でもな、自分にあって弟にもあるものの中で…なんでもいい、一つでもいいから、その勝ちだけは、譲っちゃいけないんだ。そいつが自分で勝ち取るまで。」
「うん、分かった。」
その後、四人で飲み直したのだった。とは言っても俺はミルクだけどな。
この国の飲酒制限は16歳までらしい。
三人ともがすっかり酔っ払ってしまったのだった。
レオとティアが酔って眠ってしまった後、ウタがこんなことを言ってきた。
「…ねえ、葉風君…『お兄ちゃん』って呼んでもいい?」
「なん…だと…!」
なぜだ!?
「なんか、お兄ちゃんがいたらこんな感じかなあって思ったから…ダメ?」
「ぐっ!?だ、ダメ……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………じゃない。」
「あは、良かった!お兄ちゃん!」
「ぐっ、よし、もう一回言ってくれ」
「お兄ちゃん」
「もう一回」
「お兄ちゃんお兄ちゃん!」
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおあおおおおおおおおおおおおお
眠っていたはずのティアが、グッとサムズアップした気がした。
何故だか答えたい気分だった。
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