【第29話】決定打

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  告白されたあの日から、仕事以外で会うのは昨日を省けば初めてで。 その間に、神谷さんに何かあったんだろうか。 まだ何か考えているような素振りを見せる神谷さんに、私は言った。 「飲みに付き合えなくてごめんなさい。では、ここで」 深々と頭を下げた私に、神谷さんの質問が降ってくる。 「歩いて帰るの?」 「え? ええ……ここからなら、さほど遠くはないですし」 「ふうん……そっか。じゃあ、行こうか」 「はい?」 眉を寄せた私に並び、神谷さんはにっこり笑う。 「僕も歩いて帰ることにするよ。途中まで、一緒に帰ろう」 「えっ、でも方向が違……」 「こっちに用事があるんだ。偶然だなあ、羽村さんの帰り道と同じ方向だなんて」 白々しい演技をした神谷さんが、私の肩をポン、と叩く。 .
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