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告白されたあの日から、仕事以外で会うのは昨日を省けば初めてで。
その間に、神谷さんに何かあったんだろうか。
まだ何か考えているような素振りを見せる神谷さんに、私は言った。
「飲みに付き合えなくてごめんなさい。では、ここで」
深々と頭を下げた私に、神谷さんの質問が降ってくる。
「歩いて帰るの?」
「え? ええ……ここからなら、さほど遠くはないですし」
「ふうん……そっか。じゃあ、行こうか」
「はい?」
眉を寄せた私に並び、神谷さんはにっこり笑う。
「僕も歩いて帰ることにするよ。途中まで、一緒に帰ろう」
「えっ、でも方向が違……」
「こっちに用事があるんだ。偶然だなあ、羽村さんの帰り道と同じ方向だなんて」
白々しい演技をした神谷さんが、私の肩をポン、と叩く。
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