【第29話】決定打

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  「さ、帰りましょうかお嬢さん?」 そう言って、私を先へと促す。 念のため確認すると、酔っ払っている様子は欠片もない。 一体、どうしたっていうんだろう。 神谷さんが、変だ。 「……また、眉間にシワ」 言われてバッと音がしそうなくらい素早く隠す。 にんまり笑った神谷さんが、いつも通りの優しい声色で続ける。 「偶然、方向が同じなだけだよ? 家まで付いていこうなんて思ってないから安心して」 「……神谷さん……何だか、いつもと違いません?」 どうしても違和感が拭えずに、私は思わず神谷さんに尋ねていた。 ほんのわずかな動揺を匂わせた後、彼は、また少し意地悪な顔をした。 .
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