【第29話】決定打

12/38
前へ
/38ページ
次へ
  「そうかな? 羽村さんは、飲み友達と途中まで一緒に帰ったりしないの?」 「帰り……ますけど」 「それじゃ、問題ないよね? 今僕は、羽村さんの、何?」 私の答えに満足げに微笑む神谷さん。 ずいっと顔を寄せてきたから、思わず一歩後ずさってしまった。 「……飲み友達、ですか?」 「その通り。疑問符はいらないよ。さあ、帰ろう」 有無を言わさぬ態度で私の横に並んだ神谷さんが、ニッと笑う。 ……やっぱり、神谷さん、変。 いつもとは違う神谷さんのペースが、小さな胸騒ぎを連れてくる。 複雑な気持ちになりながらも、私はそれに従うしかなかった。 .
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1472人が本棚に入れています
本棚に追加