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日は暮れているけれど、深夜とは違い、人通りは多くはないけれどある。
夜道、というには少し早い時間に、こんな風に神谷さんと並んで歩くのは初めてのことかもしれない。
「翔兄さんと涼さんがね、羽村さんを待ってたよ」
「そうなんですか? あーそうだ、あのカクテルの中身、教えて欲しいです」
「そんなに気に入ったんだ。どうだろうね? それを餌に、通わせる気かもしれないよ?」
「ありえますね。でも本当に、すごく美味しかったんですよ。初めて飲む味で」
何気ない会話だけれど、私は何だかそわそわ、落ち着かなかった。
それは以前みたいに神谷さんを意識してのことじゃない。
長瀬から、いつ連絡が入るのか……それを待ちわびてのことだった。
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