【第29話】決定打

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  日は暮れているけれど、深夜とは違い、人通りは多くはないけれどある。 夜道、というには少し早い時間に、こんな風に神谷さんと並んで歩くのは初めてのことかもしれない。 「翔兄さんと涼さんがね、羽村さんを待ってたよ」 「そうなんですか? あーそうだ、あのカクテルの中身、教えて欲しいです」 「そんなに気に入ったんだ。どうだろうね? それを餌に、通わせる気かもしれないよ?」 「ありえますね。でも本当に、すごく美味しかったんですよ。初めて飲む味で」 何気ない会話だけれど、私は何だかそわそわ、落ち着かなかった。 それは以前みたいに神谷さんを意識してのことじゃない。 長瀬から、いつ連絡が入るのか……それを待ちわびてのことだった。 .
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