【第29話】決定打

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  「そう言えば、大将もだな。羽村ちゃんを連れて来いってうるさくて」 「あはは。光栄です」 くすくす笑い合いながら、足を進める。 さりげなく携帯をチェックしたけれど、まだ何の連絡もない。 改めて、不思議に思う。 ついこの間まで、考えもしなかった。 “憧れのキミ”の神谷さんとこんな風に並んで、歩くなんて。 緊張はわずかに残るけれど、ドキドキするような感情はいつの間にかもう、なくなっていった。 今、その感情は……信じられないことに、“同期のオレサマ”に向けられている、なんて。 本当に、人生どう転ぶかわからないものなんだなぁ。 .
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