【第29話】決定打

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  「……神谷さん?」 少しだけ、怖くなる。 その手の力は、簡単には振りほどけないほど強かったから。 俯きがちだった神谷さんが、ゆっくり、顔を上げる。 「……行かせたく、ない」 吐き出された言葉の意味を瞬時に悟ると、私は身を硬くした。 神谷さんの強い視線が、私の瞳を通り過ぎて胸に刺さる。 「っ、あのっ……」 また少し、息がしづらくなった気がする。 捕まったままの手を振りほどこうと、私が何かを言うより早く……それは解放された。 .
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