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翌日、長瀬は朝から随分忙しそうだった。
この間の撮影からずっと、そうなんだけれど。
私の方は、どちらかというと緩やかで。
今日の分の仕事は比較的、早く終わった。
午後七時前、そろそろ帰ろうかと思っていたら、三浦さんに声をかけられる。
「羽村さん、ごめん。今大丈夫?」
「あ、はい」
「この間のK社のデータ、いま出力できる?」
「大丈夫です。何部必要ですか?」
「んー、三部。お願い」
「はい」
頷いて、データを探して開く。
作業をしている私の横で、三浦さんが溜息を吐いた。
「二部は鳳凰堂に送る分なのよ。小野さんがクライアントに頼まれたんだって」
「あー……鳳凰堂、まだプリンタ替えてないんですね」
「そうなの。いい加減、買い替えろって話よね」
このところ、三浦さんも忙しい日々を送っているのは知っていた。
隣で首を左右に倒してストレッチをしている三浦さんに、私は提案する。
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