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「そんなの全部、羽村さんに好かれるため、だと思わない?」
「そんなっ……」
そんな。
そんなはず、ない。
だって、神谷さんはいつだって。
いつだってやさしくて、大人の振る舞いをしてくれて…。
そんな風に思いながら、呆然と神谷さんを見つめる。
その表情は、今までに見たことがないくらい……沈んでいた。
「現に、今だって僕は」
そう呟いた神谷さんが再び私の手を取った。
ぎゅっと指先にまで力を込めて、私を射抜くように見つめる。
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