【第29話】決定打

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  「羽村さんをここから逃がさない方法ばかり、考えてる」 「っ、」 反射的に引いてしまった手を、許さないとでもいうかのようにさらに強く掴まれる。 けれど顔は、咄嗟に逃げていた。 恐怖じゃない、と思う、けれど。 ただ……ヒリヒリするような神谷さんの纏う空気から、逃げたかっただけかもしれない。 振りほどけない腕から、血の気が引いていくような気がした。 恐る恐る見上げた先、神谷さんの顔が苦しそうに歪んでいる。 .
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