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それを、咄嗟に避けた。
ありったけの力を込めて、抵抗した。
私の様子に気づいた神谷さんの表情は曇り、色を変えていた。
そんなことに気が回らない私は、両手で必死にその胸を押し返す。
「いや、だ……っ!」
切れ切れに吐き出して、首を引く。
私を引き寄せた神谷さんから、距離をとるために。
『いやだ』
その一言が、空気に溶けた瞬間。
私は神谷さんのぬくもりから逃げるように、その腕を振り払っていた。
「っ、」
神谷さんの顔が、傷ついたように歪む。
けれど、すぐにその表情は緩み、苦笑しながら私に手を伸ばした。
反射的にびくり、震えてしまった私は叫ぶように言う。
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