【第29話】決定打

27/38
前へ
/38ページ
次へ
  「……もう何もしないよ、ごめん」 神谷さんはそう言ってくれるのに、私は混乱したままただひたすら繰り返す。 「ごめんなさい……やだ、もう……っ、ごめんなさい……!」 じわり、滲み出した視界。 誰に向けての謝罪なのか、何のための謝罪なのか、もうわからなくなっていた。 浅い呼吸を繰り返す私に、神谷さんが「はは」と笑った。 「謝らないでもらえると助かるな」 「……っ、でもっ」 「そんな風に謝られると、どんどん、辛くなる」 そう言われてしまうと、何も言えなくなってしまう。 黙り込んだ私に、神谷さんはふうっと大きく息を吐いた。 .
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1471人が本棚に入れています
本棚に追加