【第29話】決定打

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  「……やっぱり、友達、なんて無理だよね」 浅く笑った神谷さんが、私に頭を下げた。 「本当に、ごめん。驚かせて」 「いえっ……」 それ以上の言葉は出てこなかった。 大丈夫です、と言える余裕は、まだ、ない。 私の様子を窺っていた神谷さんが、眉を下げて微笑んだ。 困ったようなその顔は、そして彼を取り巻く雰囲気は、すっかり以前のものに戻っている。 「……羽村さんを傷つけたかったわけじゃないのに、ね」 そう言った彼が、その場に落ちたままになっていた鞄を拾い上げた。 私の鞄をそっと差し出して、そして、優しく微笑む。 .
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