【第29話】決定打

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  「む、無理です! だってそんなの……」 「言えるはずだよ、羽村さんなら。だって、きちんとNOは言えるじゃない」 弾かれるように反論した私の言葉尻を、するっとさらう神谷さん。 ぐ、っと言葉を失った私に、彼はさらに続ける。 「何が躊躇させているのかわからないけど……怖がったって何も進まないとは思わない? それとも君が好きになった男は、君の好意をきちんと受け止めてくれないほど、心の狭いヤツなのかな?」 「で、でも……」 疑問系で詰め寄ってくる神谷さんに、私はじりじりと追い詰められているような錯覚を起こす。 上手い反撃が思いつかずにただ唇を噛み締めるしかない。 「じゃあ……もし、長瀬さんが他の誰かに獲られても、平気?」 「っ!」 笑顔を絶やさない神谷さんが私にとどめを刺した。 平気、なわけがない。 耐えられる気がしない。絶対無理だってわかってる。 それでも私は必死に守ってきた建前で、なけなしの反撃を試みる。 .
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