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「わ、私は今のままで……今みたいな関係が崩れるなんて、そんなこと……!」
怖くて、出来ない。
その言葉は声にならなかった。
言ってしまえば現実になってしまうような気さえする。
さっきまでは訴えかけるように背の高い神谷さんを見上げていたけれど、自然と視線は落ちていった。
長瀬のことになると、途端に弱気になる自分が情けない。
そんな私の頭に、ふわりと手が落ちてくる。
「平気だよ。壊れたら、またやり直せばいい。失敗したって、絶対にどこかで取り返せるんだから。……ある意味、仕事と同じだよ」
「……仕事、と?」
声と手に導かれるように、顔を上げた。
以前、そうしてくれたのと同じように…私の頭をするりと撫でた神谷さんが、優しく微笑む。
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