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「そう。恋愛だって、同じ。停滞していたって、現状のままでいられる保証はないんだよ? ただ失うだけになる可能性だってある。それよりは」
私の髪から神谷さんの指先へ、視線を移動しながらの言葉。
時間がゆっくり流れているみたいだ、と感じながら…私はその動作を、動かずに見守った。
手元に落ちていた神谷さんの視線が、私の元へ戻ってくる。
そして、言葉の続きを紡いだ。
「少しでも先に進むために動く方が、僕はいいと思う。羽村さんの性にも合ってると思うんだけどな」
最後に、ニコッと笑った神谷さん。
その眼差しや雰囲気は、ずっと憧れていた“鳳凰堂の神谷さん”そのものだった。
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