【第29話】決定打

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  目から鱗、じゃないけれど。 神谷さんの言葉に、私の中でこんがらがっていた感情が、するりとほどけていく。 簡単なこと、だった。 自分で難しくしていただけ、だ。 私が自分の気持ちに素直にならなきゃ、何も始まらない。 神谷さんがそれを、言葉だけじゃない、行動で教えてくれた。 「……ありがとうございます」 自然と口に出していた感謝の気持ち。 少しだけ首を傾げて、神谷さんは尋ねてくる。 「僕のヒントは、役に立ったかな?」 「はい。……どうなるかは、わかりませんけど……頑張って、みます」 まっすぐ神谷さんを見て、答えた。 私の心には、しっかりと新たな決意が芽生えていた。 うん、と頷いて、神谷さんは悪戯っぽく笑う。 .
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