【第29話】決定打

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  「じゃあ、一杯だけでいいから、付き合ってくれないかな」 「え、でも……」 「お願いします。せっかく会えたんだから、どうしても羽村さんと飲みたいんだ。駄目かな?」 弱り切った顔をしているくせに、引き下がってはくれない神谷さん。 こんなに強引に誘われることなんて、今まで一度だってなかったのに、どうしたっていうんだろう。 ついに頭まで下げてきたものだから、私はとうとう溜息を吐いた。 ここまでされたら、断るなんてできないじゃない。 「……わかりました。でも、本当に一杯だけですよ?」 「うん。ありがとう。じゃあ行こうか」 途端にぱあっと表情が明るくなった神谷さんは、私を促して歩き出した。 .
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