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「じゃあ、一杯だけでいいから、付き合ってくれないかな」
「え、でも……」
「お願いします。せっかく会えたんだから、どうしても羽村さんと飲みたいんだ。駄目かな?」
弱り切った顔をしているくせに、引き下がってはくれない神谷さん。
こんなに強引に誘われることなんて、今まで一度だってなかったのに、どうしたっていうんだろう。
ついに頭まで下げてきたものだから、私はとうとう溜息を吐いた。
ここまでされたら、断るなんてできないじゃない。
「……わかりました。でも、本当に一杯だけですよ?」
「うん。ありがとう。じゃあ行こうか」
途端にぱあっと表情が明るくなった神谷さんは、私を促して歩き出した。
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