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「長瀬さんとは、その後どう?」
「ぶっ」
乾杯してすぐ、一口目を飲んでいる途中の質問だった。
思わず噴き出した私に、神谷さんがおしぼりを差し出してくれる。
「す、すみません……」
「いえいえ。それにしても面白い反応だね。あの後、何かあった?」
「い、いえ別に……」
なくは、ない。
タートルネックのニットで隠した首筋に、その証拠が残っている。
けれど決定的な何かがあった、とは言えない。
この後、その結果が出ることになるのだけれど。
神谷さんは楽しそうに、昨日を思い出す素振りを見せた。
「可愛かったなぁ、羽村さん。あたふたして、真っ赤になって」
「……動揺しない方がおかしいですよ、あんなの」
溜息混じりにそう言うと、ますます愉快そうに神谷さんは私の顔を覗き込んでくる。
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