【第29話】決定打

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  「長瀬さんとは、その後どう?」 「ぶっ」 乾杯してすぐ、一口目を飲んでいる途中の質問だった。 思わず噴き出した私に、神谷さんがおしぼりを差し出してくれる。 「す、すみません……」 「いえいえ。それにしても面白い反応だね。あの後、何かあった?」 「い、いえ別に……」 なくは、ない。 タートルネックのニットで隠した首筋に、その証拠が残っている。 けれど決定的な何かがあった、とは言えない。 この後、その結果が出ることになるのだけれど。 神谷さんは楽しそうに、昨日を思い出す素振りを見せた。 「可愛かったなぁ、羽村さん。あたふたして、真っ赤になって」 「……動揺しない方がおかしいですよ、あんなの」 溜息混じりにそう言うと、ますます愉快そうに神谷さんは私の顔を覗き込んでくる。 .
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