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「疑いたくもなるっつーの。どれだけ俺がやきもきしたと思ってんだ。相手が悪過ぎる」
そう言って頭を掻く長瀬。
こんな顔も仕草も、弱気とも取れる発言も…長瀬にしては珍しすぎて、私は思わずぽろりと本音を零した。
「……長瀬でも、そんなこと思うんだ……」
「あ? 当たり前だろ」
嫌そうな顔をしながらも、長瀬は続ける。
「仕事できるし男前だし落ち着いてるし、育ちもよさそーで背も高けーし。あげく、飲んべえときた。お前の好きそーな条件満たし過ぎ。そのうえ『憧れのキミ』だぞ? 勝算なんてどこにあるんだよ」
言うだけ言って、はあ、と大きな大きな溜息を吐く長瀬。
その様子を呆然と見ていた私は、次の瞬間、思わずふき出した。
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