【最終話】不器用な獣同士の恋と罠

22/40
前へ
/40ページ
次へ
  「……最初から、好きだったんだよ。だから弱み握ったの利用して、カラダで縛った」 胸が高鳴るのと同時に、鈍い痛みが走る。 長瀬の目論み通り、カラダで縛られた私は、まんまとその罠にかかってしまったわけだけれど。 カラダだけだと思い込んで、言い出せなかった気持ちが、心に影を落とす。 「……そんな、やり方……っ」 何とか出せたのは、非難するかのような響きを持った掠れた声。 同時に、長瀬を睨むように見てしまう。 長瀬のせいじゃ、ない。 私が今日まで言い出せなくて辛かったのは、自分の弱さのせいだ。 現状を壊したくなくてこれでいいって言い聞かせて、躊躇っていたのは自分の責任だ。 わかっていて、それでも言わずにいられなかった。 .
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1780人が本棚に入れています
本棚に追加