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「……最初から、好きだったんだよ。だから弱み握ったの利用して、カラダで縛った」
胸が高鳴るのと同時に、鈍い痛みが走る。
長瀬の目論み通り、カラダで縛られた私は、まんまとその罠にかかってしまったわけだけれど。
カラダだけだと思い込んで、言い出せなかった気持ちが、心に影を落とす。
「……そんな、やり方……っ」
何とか出せたのは、非難するかのような響きを持った掠れた声。
同時に、長瀬を睨むように見てしまう。
長瀬のせいじゃ、ない。
私が今日まで言い出せなくて辛かったのは、自分の弱さのせいだ。
現状を壊したくなくてこれでいいって言い聞かせて、躊躇っていたのは自分の責任だ。
わかっていて、それでも言わずにいられなかった。
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