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「……そーだ」
下唇をくっつけたままで、長瀬は何かを思い出したように呟く。
「浮かれて忘れるところだった」
そう言うと、そっと私の体を少しだけ離した。
ぼうっとしている私の顔を覗き込んで、真剣な眼差しで言う。
「お前、神谷さんとは、どーなってんだよ」
「え、」
この状況で、聞く?
甘く融けていた思考が、一気に引き戻される。
思わず頬を引き攣らせる私に、長瀬は不機嫌を隠さず、ずいっと詰め寄った。
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