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「……なんだその顔は。気になるに決まってんだろーが。ほら、吐け」
そう言って、片手で私の両頬を優しくぺちぺちと叩く。
嫌な顔をしても、抵抗しても、この場を切り抜ける方法はなさそうだ。
私は渋々、口を開く。
「……告白、してもらった」
「へえ……」
聞いた途端、長瀬の顔が怪しく歪む。
その表情があまりに恐ろしくて、私は慌てて弁解する。
「で、でもっ! ちゃんと断った、よ?」
「ふうん?」
「本当だってば! 私には疑うなって言っておいて……自分は疑う気!?」
本気で信じてもらえていないのか、私が慌てる様をただ遊んでいるだけなのかはわからない。
だけどこの状況は私にとって苦し過ぎる。
恨めしそうに長瀬を見ると、彼は大きな溜息を吐いた。
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