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「とりあえず」
そう言って、私の額を小突いた。
ぐっと顔を寄せて、私の心に刻み付けるように言う。
「もー神谷さんと二人で会うの、禁止な」
拒否は許さない、と……目が語っていた。
私は呆気にとられながらも、質問を返す。
「……とりあえず、が、それなの?」
「あーそうだよ。……続きは、向こうで、な」
ニヤリ、笑った長瀬が私から手を離した……と、思ったら。
「へっ? あ、わあっ!」
視界がぐるっと反転して、私は長瀬に抱え上げられていた。
反射的に落ちるのを怖がった体が、勝手に長瀬の首にしがみつく。
慌てる私の反応を楽しそうに見ている長瀬と目が合った。
この体勢の恥ずかしさもあいまって、私は食って掛かるように長瀬に抗議する。
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