【最終話】不器用な獣同士の恋と罠

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  その事実が何だか悔しくて、「もうっ!」と不満げな声を漏らし、ばしっとその腕を叩いてやった。 甘さを纏っていた長瀬の顔が、意地悪く歪む。 「いてっ。あーあ、傷ついた。ミオのカラダで慰めてもらわねーとな」 「なっ!?」 一瞬だけしゅんとした空気を纏って、それから。 にやり、挑戦的な目を向けた長瀬が、そっと囁く。 「やさしくしてね、ミオ」 「やっ、何それちょっと待てえっ!」 「待たない」 そう言うが早いか、強く言い切った長瀬は私の手をひとまとめにした。 そんなことしなくても逃げない、けれど、自由が奪われるというのは何とも歯がゆい。 するり、私の頬を撫でた長瀬が言う。 「俺は待ったよ、じゅーぶん過ぎるほど、な」 「はあ!?」 ぞくぞく、と。 駆け上がる感覚に抗うように、私は声を張り上げる。 私の様子をじっと窺っている長瀬には、ただの強がりだって、お見通しなのかもしれない。 くっ、と笑った長瀬が顔を寄せる。 .
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