年下の彼女

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なのに俺は、見てしまった。 「……っ」 若い男とマンションの敷地に入っていく、夕美を。 日直の勤務を終え、帰り着いた我がマンション。 足元ばかりを見つめて歩いていた俺は、その簡素な佇まいを視界の隅に捉えて、ようやく少し離れたところを歩く二人に気がついた。 思わず足が止まる。 ……え? なんなん今の。 すぐに中に入っていった二人の様子は一瞬しか見れなかった。 だけど俺があいつを見間違う筈は絶対になくて。 ……え、修羅場……? そんな考えが浮かんでしまった。 ……や、まさか夕美がそんな。うん、あり得ん、あり得んやろ。 どうにか冷静に努め、そう自分に言い聞かせてみる。 それでもどくりどくりと脈打つ己の拍動に胸が、苦しい。 ……落ち着け、ただの動悸や。脳ミソが心臓の動きを親切に教えてくれとるだけや。狼狽えんな俺。 そんな自分に驚きつつ、ひとまずよく考えようと大きく息を吸い込んだ、時だった。 「あれ? 山崎さん……ですよね? どうしたんですか?」 「ひっ……!?」
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