年下の彼女

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突然後ろから掛けられた声に心臓が跳ねた。 もしかしたら体も少しばかり跳ねていたかもしれない。 全く人の気配に気付かなかったことに驚きながら後ろを振り返ると、そこには夕美よりも少し大きいくらいの小柄な女性が立っていた。 えっと……? 何度か見かけたことがあるその顔に、未だ混乱気味の頭で必死に記憶を探る。 賑やかさんやのうて……あ。 「香織、さん?」 あかん、どうしても名字が出てこーへん。 あまり親しくもないご近所さん──しかも女性をいきなり名前で呼ぶのは如何なものかとは思うが出てこないものは仕方ない。 そんな思いもあってへらりと頼りない笑みになった俺に、香織さんは僅かに目を見開いた直後、ぷっと楽しそうに吹き出した。 「はい。一応名字は田代です」 「う、すみません、うちのがいつもそう呼ぶんでつい……」 あっけらかんとした様子で笑う彼女は、この短時間でも気さくな人柄が窺え、夕美が懐くのも頷けた。 苦笑いで頭を掻くと、彼女はふと柔和に目を細める。 「うちのって、なんかもうご結婚されてるみたいですね」 「あ、いや……」
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