年下の彼女

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さらりと話を逸らすと飛び出た名前に思わず首を傾げる。 「あ、ほら少し前斜め下に引っ越してきた女の人」 「あー」 あの賑やかさんか。 言われてみれば、何度か窓の外でそう呼ぶ声が聞こえたような気もする。 ちゅうかこん前まで普通に名字で呼んどったのにいつの間にそんな仲良なってん。 なんて思いも浮かぶが、それよりも気になることが一つ。 「……でもあそこよぉ男が出入りしてやるやん。んなとこ行って大丈夫なん?」 しかもなんや庭からスルッと入りよるクセに、毎回決まった奴やない気がすんねんけど。 ネクタイを緩めながらリビングに続くドアをくぐると、今度はダイニングテーブルの上に山とある物に目が奪われた。 「大丈夫ー今日はいなかったもん」 「その危機感の薄さはまたじっくり話させてもらうにしてや、アレもその賑やかさんにもろたん?」 あとに続いて部屋に入った夕美を向いてそのお菓子の山を指差せば、そいつはまたも屈託なくにこりと笑う。 「ううん、あれは香織さんとこから帰る時にたまたま会った藤井さんにもらったの。ほら端っこに住んでる背の高い男の人」 「え、なんでまた?」 「一人じゃ食べれないからって言ってたよ?」 ……あんのひょろながノッポめ。絶対あれやな、女にばっかええ顔するタイプや。うん、間違いない。
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