『4月10日』

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3, 「バトルフェイズ、全モンスターでダイレクトアタック! 吹き荒れろ狂乱の嵐、シュタイフェ・ブリーゼ!」 1200→0 「受験No.205 京極 嵐悟、合格!」 「あざっした~」 所変わって、試験会場。 といっても、ただの体育館だが。 その体育館が8つに分けられ、それぞれのブロックに試験官と生徒が決闘をしている。 そのうちの1つでたった今試験を終え、出口へと向かう生徒に声を掛ける。 「よう、嵐悟」 「ん?ああ、なんだ大智か」 ライトグリーンの髪に同色の瞳、首に巻かれたネクタイの結び目を胸の中央あたり(丁度心臓くらいの位置だ)まで下げ、ブレザーの下に来たシャツも第三ボタンまで開けた、全体としてアウトローな雰囲気をまとった少年。 ……いや、もう青年なのか? 「なんだとはまたご挨拶だな」 「かはは、わりぃわりぃ。ちぃとばっか疲れててな」 京極 嵐悟。 この学校では比較的珍しい「風属性」を主体に使う男で、俺のクラスメイト。 最初はその雰囲気に若干ビビっていたりしたのだが、話してみると意外に気さくなやつで驚いた。 「ん?今日の試験はそんなに難しかったのか? おまえが疲れるなんて相当なことだと思うが」 しかもコイツ、その印象とは裏腹に実技に置いてはクラスはおろか学年でも指折りの実力者。 一貫したサポートに恵まれないせいで 扱いが難しいとされる風属性、それでその成果であることを加味すれば、プレイングでは学年1といっても過言ではない。 ……まあ、そのかわり座学が酷い。 その点に関してはほぼ見た目通りだ。 「いや、試験自体は1年の時のに毛が生えた程度の難易度だったぜ」 「……?ならおまえが疲れた理由ってなんだよ?」 「試験官が大宮だった」 「ああ……」 大宮 英雄。 アカデミアの教師、かつ俺たちの担任。 嵐悟が学年で指折りの実力者なら、大宮先生は教師陣での屈指の実力者。 基本的に生徒の前では本気を見せないらしいので詳しいことは不明だが、各学年の主任に匹敵する実力があるとか。 ……誇張だと思うけど(むしろその可能性の方が高い)。 「それは……なんつーか、お疲れ様だな」 「ああ、本気で疲れたぜ。 つーわけで、オレはもう帰って寝るわ」 「おう、またな」 彼は力なく笑顔を作ると、扉を開けて出ていった。
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