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「白井、あいつ、
……本当にクズだな」
吐き捨てるように言って、
拳を固める。
「萌、今の話、誰かに言った?」
「言うわけないじゃない。
わたしだって白井さんのこと、
信用してるわけじゃないもの」
更科くんはじっと
わたしの目を見つめ、
その言葉が嘘でないかどうか、
注意深く見極めようとしていた。
その目が危険を
孕んでいるように見え、
わたしの手のひらに
汗がにじんだ。
月子ちゃんを守るためなら、
彼はきっと手段を選ばない。
彼の中にはそんな、深くて――
間違った覚悟が
あるように見えた。
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