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自分でも子供染みていると思うが、酒をワザと濃い目に作ったのだった。
負けず嫌いな性格の優弥は悔しそうに俺を睨みながら残りの酒を一気に飲み干し
「お代わり」
グラスを雑にテーブルに置くと強気に言い返してきた。
俺たちのやり取りに優子ちゃんだけが着いてこれず、一人だけ不思議そうに首を傾げているのが可笑しかった。
さすがに二度も濃い酒を出すほど性格悪くはない。
「店が終わったら時間あるか?」
キチンと作った酒をテーブルに置こうと手を伸ばしたが、優弥の言葉に途中で動きを止まってしまった。
給料日前の平日で客足が遠退き、多分店も早く閉めることになるし、この後コレと言った用もない。
でも俺はすぐに答えることができずに戸惑ってしまった。
返事をしない俺を優弥は逃さないように直視してくる。
一気に空気が重くなっていくのを感じながら、優弥の隣で困惑の表情で俺を見てくる優子ちゃんの存在に気づく。
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