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「仕事の邪魔するな。営業妨害だ」
帰る優子ちゃんの後ろ姿を満足げに見送る優弥に一括を入れる。
「優子ちゃんだっけ?良いって言ってくれたんだから営業妨害じゃないだろ」
全く悪びれていないふてぶてしさに呆れながら優子ちゃんのグラスを片す。
優弥の言葉に返事も返さず不機嫌そうに片づけ続ける俺に更に言葉を投げかけてきた。
「あんまり気を持たせるような事するなよ?そんな気もないくせに……」
無視し続けてやろうと思っていたのに、思いもしなかった言葉につい反応してしまう。
手を止め視線を向けると頬杖を付きながら冷やかな目で俺を見ていた。
「別に気なんて持たせてるつもりなんてない。それに……」
言葉に嘘も後ろめたさもなかったが、すぐに優弥から視線を外し手を動かしだす。
「それに何だよ……」
「---それに。優子ちゃんには別に好きな人がいるからあり得ない」
一瞬脳裏に優子ちゃんのあの時の姿が横切る。
声もかけれないほど切なげで寂しそうな横顔。
見ているこっちまでも胸が締め付けられてしまいそうになった。
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