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「差はつけてないか。---俺にはそうは見えなかったけどな」
顔色ひとつ変えず淡々とした口調で言いながら俺を見据えてきた。
後ろめたさは確かに無かったはずなのに優弥の言葉がチクリと胸に刺さり、鼓動を微かに乱す。
「気のせいだろ。そんなつもりは全くない」
動揺を悟られないように隠しながらキッパリと否定する。
「本当に?」
俺の嘘なんて長い付き合いの優弥に通用するわけもなく、追い込むように言葉を強めてきた。
「本当にないよ。ただ……」
「ただ何だ?」
それでも優弥の視線は変わることはない。
何を知りたいのか……
何を聞き出したいのか……
言い逃れることを諦め、渋々認めても優弥の追及の手は緩むことはなかった。
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