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あれからずっと悩んでいた。
彼女に……
美月に会いに行くべきか、と。
いくら一人で思い悩んでも、何一つ解決なんてしない。
それどころか悩みは深まるばかりで俺を苦しめる。
もう限界なのかもしれない---美月に会わずにいることが。
優弥さえ俺の前に現れなければ、こんな風には思わなかったかもしれないが、今更そんなことを言っても仕方がない。
一度"会いたい"と思ってしまったら、気持ちは逸るばかり。
いっそ気持ちの赴くままに突っ走って美月に会いに行きたいと思うが、それができないのが俺。
あれから何が変わった?
会ってどうする?
不意に冷静になってしまい、自分にブレーキをかける。
少しは成長したと思っていたのに、この間の優弥のやり取りで現実を思い知らされた。
思い出しただけで悔しさが込み上げ、無意識に拳に力がこもる。
「どうしたらいいんだ……」
もしかしたら優弥の罠にハマってしまったのかもしれないと思いながらも俺は迷わずにはいられなかったのだ。
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